第43章

大島莉理は痛いのが怖い。天をも恐れぬくせに、怖いものがあるとすれば痛みだけだった。生まれつき痛覚が鋭すぎるのだ。ほかの人が「5」だと感じる痛みが、彼女にとっては「8」になる。

だから、あのとき――子どもを失ったときは、次の瞬間に死ぬのではないかと思うほど痛かった。

田中尚哉のポケットのスマホが、また鳴る。

しつこい。何度も何度も。

大島莉理が言った。

「出たら? ここ、病院だし」

着信音が、もう騒音みたいだった。

田中尚哉はポケットのスマホに目もくれず、莉理の身体を支えて長椅子へ座らせる。

「ここで待ってて。薬、取ってくる」

そう言って踵を返し、階下へ向かった。

大島莉理...

ログインして続きを読む